日本社会で生じる様々な事件、事故、トラブル、話題について、古き善き日本の情緒を愛する一人として考察するところをコメントしたいと思います。
安倍さんの首相辞任に思うこと
随分久し振りの『世事雑感』となってしまいました。前回は参議院選挙で自民党が惨敗した事に関して、民意取り違えているのではないかと提言しました。その惨敗の原因は大臣が政治資金処理の不始末で自殺したり辞任した事への審判ではなかったのではないかと言うのが無相庵の見解でした。

今も、自民党の敗因は小泉改革で痛みを蒙った私たち一般庶民と地方の人々の批判票が民主党に一時的に流れただけの事だったと私は思っています。それはさておき、臨時国会が召集された9月10日(月曜日)に所信表明演説をした安倍首相が、翌々日の12日(水曜日)に自民党本部に辞意を漏らし、午後2時には辞任表明の記者会見をしました。所信表明の二日後、国会で各党からの代表質問を受ける直前の辞任表明には、前代未聞、敵前逃亡と言う批判の声が上がりました。タイミングは極めて不適切だったと私も思いますし、安倍さん流に言えば、「美しくない引き際」だと云うところではないかと思います。

そして昨日、安倍首相は今日の首相辞任を前に入院先の慶応病院でお詫び会見をされました。お顔には生気が無く、痩せられており、恐らくは最後の気力と体力を振り絞って臨まれたのだ思います。私には痛々しさだけが印象に残りましたが、テレビ各局のコメンテーター達は、口を揃えて、「キチンと、国民に謝罪していない」とか「一国の首相として情けない」と、倒れたボクサーを更に打ち続けるようなコメントに、私は惻隠の情を失った日本の風潮に不愉快さと情けなさを禁じえませんでした。

安倍さんは、幼稚園から大学まで受験無しの私立一貫校を経て、大企業の神戸製鋼のサラリーマンとしては短期間勤務した後に政界入りし、お金の苦労も人間関係の苦労も、また挫折感を経験することなく、日本のトップを勤めることになった訳であります。そう言う経歴故に庶民の苦労・苦悩などは分かっているはずがありません。そう言う無菌培養された人だったが故に、教育基本法の改訂、国民投票法の制定、防衛庁から防衛省への昇格等を数の論理で強行突破出来たのだと思います。

しかし、今回の挫折によって安倍さんが失ったものも大きいけれど、また学び得たものも同じ位に大きいと思います。今回の経験を生かして、安倍さん自身が言われていた『再チャレンジ』にチャレンジして国民に範をたれて欲しい、と私は心から願っています。